母が外に出たいと言い始めたのは、脳梗塞から2年が経った頃だった

最初の1年は、立つこともやっとだった。
ケアマネジャーに「リハビリを兼ねて、できるだけ歩く時間を作ってください」と言われていたけど、現実はそんなに甘くなかった。仕事から帰ってきて、母の食事と入浴と寝かしつけで精一杯。散歩なんて考える余裕がなかった。
でも3年目に入った時点で、母の足腰がかなり戻ってきていた。
「外に行きたい」と母が言った。「お花を見たい」と。
その時点で、わたしは2年前に買ったシルバーカーを引っ張り出した。スチール製の、重いやつ。価格は安かったけど、使うたびに「これ、ちょっと重くないか」と感じていた。
母の歩行能力が変わると、選ぶべき道具も変わる。
最初に買ったシルバーカーが合わなくなった理由
2年前に買った時、母はまだ足腰がかなり弱い時期だった。
本当に足が弱っていて体重を支えられないなら、介護保険でレンタルできる歩行器を選ぶべきだった。でも当時の母は「補助があれば自分で歩ける」という段階で、歩行器ほどではなかった。
なのでシルバーカーにした。ただし、もたれかかって体重を全部預けると転倒するので、それはしないように気をつけていた。
だから安定性重視で、スチール製のマーチSを選んだ。
レビューも804件で評価4.68。「安定感がある」「長く使える」という口コミが多かった。確かに、母が体を預けた時の安定感はあった。
でも3年経つと、事情が変わっていた。
母が「自分で歩きたい」という気持ちが出てきたのだ。カーの座面に座る時間より、立って歩く時間が増えた。そうなると、スチール製の重さが邪魔になった。
「これ、重くない?」と母が言った。
わたしも気づいていた。持ち運ぶ時に、ずっしり来るんだ。マンション暮らしだから、玄関に出す時に階段を下りることになる。毎回「あ、重い」と思っていた。
シルバーカー マーチS(島製作所)
《2年後の自分への備忘録》
- スチール製は安定感が高いが、重い
- 体重を預ける時期と、自分で歩く時期では必要な機能が違う
- 定期的に「今の母に本当に合っているか」を確認する必要がある
軽さと座面のバランスで選び直す
ケアマネジャーに相談した。
「そろそろ軽いアルミ製でいいと思いますよ。座面があるタイプなら、疲れた時に休めますし」と言われた。
軽くて、座面があって、でも派手すぎないデザイン。
そういう条件で探すと、候補が3つに絞られた。
まず目に入ったのが、幸和製作所のルミド SIMD02。
アルミ製で、重量4kg。前のやつの半分以下だ。レビューは343件で評価4.66。
「チェック柄がいい」「軽くて持ち運びやすい」という口コミが目立った。
座面高さが45cm。母の身長と足の長さから考えると、立ち上がりやすい高さだった。
シルバーカー ルミド SIMD02(幸和製作所)
《2年後の自分への備忘録》
- ルミドはアルミ製で軽量(4kg)
- 座面高さ45cmは、立ち上がりやすい高さ
- チェック柄は「介護用品っぽくない」と母も好評
でも最後に選んだのは、ハーモニーALだった
ルミドと並行して、もう1つ気になったのが島製作所のハーモニーAL。
こっちはもっと大きい。アルミ製で重量5.2kg。座面高さは49cm。
カゴが大きくて、買い物にも使える。レビューは335件で評価4.62。
「大容量で使いやすい」「軽いのに安定感がある」という口コミが多かった。
母に見せてみた。
「これなら、お花屋さんに行った時に何か買ってきてもいいね」と母が言った。
わたしも考えた。ルミドは軽くていいけど、カゴが小さい。ハーモニーALは、少し重いけど、母が「買い物ができる」という気持ちになれるなら、それはいい投資かもしれない。
結局、ハーモニーALを選んだ。
シルバーカー ハーモニーAL(島製作所)
《2年後の自分への備忘録》
- ハーモニーALは5.2kg。ルミドより少し重いが、大容量カゴが利点
- 座面高さ49cmで、立ち上がりやすい
- 母の「外出したい気持ち」を引き出すなら、カゴの大きさは重要
使い始めて2週間、変わったこと
ハーモニーALを買ってから、母の外出頻度が増えた。
週に2回、近所を散歩するようになった。「お花を見に行こう」と自分から言うようになった。
カゴに何か入れて歩くのが、楽しいらしい。
わたしも変わった。玄関に出す時に「あ、重い」と思わなくなった。5.2kgなら、持ち運べる。折りたたむと、クローゼットにも入る。
座面も、思った以上に活躍している。疲れたら座る。5分くらい休んでから、また歩く。
母の歩行能力が上がったから、こういう使い方ができるようになったんだと気づいた。
最初に買ったスチール製のマーチSは、母が体を預ける時期に必要だった。でも今は、母が「自分で歩く」という段階に移った。だから、軽くて、でも大容量のカゴがあるハーモニーALが合った。
シルバーカーと介護保険について
ひとつ、書いておきたいことがある。
シルバーカーは介護保険の対象外だ。自費購入になる。
歩行器(ケアマネジャーが手配する「福祉用具貸与」で月数百円〜でレンタルできるもの)とは別物で、混同しやすいので注意が必要だと思った。
母が本当に体重を支えるほど弱っている状態なら、シルバーカーではなく歩行器をケアマネジャーに相談した方がいい。シルバーカーは「自分で歩ける人の買い物補助」として使うもので、寄りかかって全体重を預ける使い方は危ない。
わたしは当時ケアマネジャーに確認して、母の状態にはシルバーカーが合っていると判断したうえで自費購入した。
次の自分への備忘録
介護用品は、一度買ったら終わりじゃない。
本人の状態が変わったら、道具も変える。その時期を見極めるのは、ケアマネジャーの助言と、毎日一緒にいるわたしの観察の両方が必要だ。
「最初に買ったやつがあるから」という理由だけで、合わなくなった道具を使い続けるのは、本人にも介助者にも負担になる。
ハーモニーALを選んだ時点で、前のマーチSは「役目を終えた」と判断した。それでいい。
まとめ|シルバーカーは「今の状態」に合わせて選ぶ
在宅介護3年目で気づいたことは、介護用品は固定的ではないということ。
- 体重を預ける時期と、自分で歩く時期では、必要な機能が違う
- 軽さと安定感のバランスは、本人の歩行能力で判断する
- カゴの大きさは、本人の「外出したい気持ち」を引き出す要素になる
- ケアマネジャーに相談してから買い直すことで、失敗が減る
- 定期的に「今のこれは本当に合っているか」を問い直す習慣が大事