母が夜間に起き上がるのに時間がかかるようになった

脳梗塞から3年目の春。
母の朝の起き上がりが遅くなってきた。
最初は「年だから」くらいに思っていた。でも訪問看護師が「背中を上げるのに時間がかかってますね」と指摘した時、ようやく気づいた。うちの母は、ベッドに仰向けで寝ている状態から、自力で上体を起こすのに30秒以上かかるようになっていた。
要介護3の母が、今まで使っていた普通のベッドでは、もう足りないのかもしれない。
そう思ったのは、ちょうど春の訪問看護の定期面談のときだった。
介護ベッドは「介護保険の対象品目」なので、ケアマネに相談すると月数百円〜千円程度のレンタル利用が可能。
わたしはずっと「介護ベッドは高い買い物」だと思い込んでいた。でも実は、介護保険を使えば自己負担は1割(月300〜500円程度)で済む。なぜもっと早く相談しなかったのか。
《2年後の自分への備忘録》
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介護ベッドは介護保険の「福祉用具貸与」対象品目
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月額レンタル料の自己負担は1割(一般的な家庭の場合)
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ケアマネジャーに相談するとケアプランに組み込んでもらえる
「電動」か「手動」か、そして「折りたたみ」か「固定」か
ケアマネジャーが自宅に来た時のこと。
「背上げ機能が必要ですね。あと、高さ調整ができるベッドがいいでしょう」と言った。
要は、母が起き上がる時に背中を上げてくれるモーター機能と、介護する側(わたし)が腰を痛めないための高さ調整機能の2つが重要ということだった。
でも、わたしの部屋は集合住宅のマンション。固定式の大きな介護ベッドを入れるスペースが限られていた。
「折りたたみ式もありますよ」とケアマネが言ってくれた。
折りたたみ式なら、日中は折りたためば部屋が広くなる。掃除の時も移動しやすい。ただし、毎日折りたたむ手間と、折りたたみ式は耐久性が劣るという懸念があった。
レンタルなら耐久性の心配は業者に任せられる。
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ケアマネから福祉用具専門相談員の連絡先をもらった。
その人が自宅に来て、「お母さんの起き上がりの力を見てから決めましょう」と言った。
母に実際にベッドで起き上がる動きをしてもらい、どの程度の補助が必要かを確認した。母はまだ自分で腕を使って少し起き上がれる力があった。
「それなら、2モーター(背上げ+高さ調整)で十分です。3モーターは不要ですね」と判断された。
3モーターは膝の部分も上下する機能があるが、わたしの母にはオーバースペックだったのだ。
《2年後の自分への備忘録》
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1モーター:背上げのみ(最も安い)
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2モーター:背上げ+高さ調整(最も一般的)
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3モーター:さらに膝上げが独立(寝たきり状態や関節が固い人向け)
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本人の起き上がり能力を福祉用具専門相談員に評価してもらうことが重要
最初に目をつけた「ライフインテリア」の電動ベッド
楽天で検索していた時に、レビュー件数が1,156件、評価4.27点のライフインテリアの折りたたみ電動ベッドが目に入った。
価格は29,800円。折りたたみ式で、背上げと足上げが連動する1モーター機能。リモコン付き。
レビュー件数の多さに惹かれた。これだけの数が売れているなら、よほど評判がいいのだろう。
でも、わたしが必要なのは2モーターだった。背上げと高さ調整が独立している必要がある。
このベッドは「背上げと足上げが連動」するタイプなので、高さ調整の独立機能がない。
「折りたたみ式」という点は魅力的だったが、スペック面で合わなかった。
楽天1位高品質×低価格電動ベッド介護ベッド折りたたみ電動リクライニングベッドライフ -LIA
《2年後の自分への備忘録》
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レビュー件数が多い=人気だが、必ずしも自分の状況に合っているとは限らない
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1モーターと2モーターの違いを理解してから選ぶ必要がある
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福祉用具専門相談員のアドバイスを優先する
コンパクトさに惹かれた「アイリスオーヤマのミニベッド」
次に見つけたのが、アイリスオーヤマの折りたたみベッド。
14段階のリクライニング機能付きで、価格は14,800円。レビュー375件、評価4.43点。
これは「ミニタイプ」で、一人暮らしや会社の休憩室用として紹介されていた。
折りたたむと幅35cm、高さ98cmになるという。本当にコンパクトだ。
でも、これは「リクライニング」機能で、「電動モーター」ではない。
つまり、手動でレバーを動かして角度を調整するタイプ。わたしが母のために必要な「電動で背上げ」という機能ではなかった。
「安い」という理由だけで選んではいけない。
母の介護の必要性と、商品の機能をちゃんと照らし合わせる必要があった。
折りたたみベッドコンパクトリクライニング 14段階ミニタイプアイリスオーヤマ
《2年後の自分への備忘録》
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「リクライニング」(手動)と「電動モーター」は別物
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安さだけで判断すると、後で買い直すことになる
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本人の介護度と、必要な機能を先に確認する
結局、レンタルに落ち着いた理由
福祉用具専門相談員と話を進める中で、わかったことがある。
介護保険のレンタルなら、月500円程度で2モーター電動ベッドを借りられる。
購入するなら3万〜5万円の出費。
でも、母の状態は今後も変わる可能性がある。
要介護4になれば、3モーターが必要になるかもしれない。
その時に、購入したベッドが合わなくなる。
レンタルなら、母の状態に合わせて何度でも機種を変更できる。
「ずっと同じベッドを使う」と決めつけるのは、家族介護者の大きな落とし穴だった。
ケアマネの勧めもあって、わたしは「購入」ではなく「レンタル」を選んだ。
福祉用具レンタル業者が2モーター電動ベッドを持ってきたのは、相談から1週間後だった。
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ベッドが届いた時、母は「これで朝が楽になるかな」と呟いた。
翌朝、リモコンで背中を上げてもらった母の顔を見た。
起き上がるのに30秒かかっていた動きが、10秒で終わった。
母の表情が違った。
朝の「つらさ」が減ったのが、明らかに伝わってきた。
《2年後の自分への備忘録》
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介護保険のレンタルは「柔軟性」が最大の利点
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購入は初期投資が大きいが、状態変化への対応が遅れる
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在宅介護は「今この瞬間」の快適さを優先する判断も重要
ソファベッドタイプも検討した話
その後、もう一つ候補に上がったのが、アイリスオーヤマのソファベッドタイプだった。
価格32,100円。14段階リクライニング。レビュー305件、評価4.44点。
「1台2役」という謳い文句に惹かれた。
昼はソファ、夜はベッドになる。マンション暮らしのわたしには理想的に見えた。
でも、これも「手動リクライニング」だった。
母が自分でレバーを操作して角度を変えるタイプ。
要介護3で、脳梗塞の後遺症で左半身に軽い麻痺がある母には、細かいレバー操作は難しい。
「1台2役」の便利さよりも、「わたしがリモコンで操作できる」という利便性の方が、日々の介護では重要だった。
折りたたみベッドソファベッド 14段階アイリスオーヤマ
《2年後の自分への備忘録》
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「1台2役」の便利さと、介護の手軽さは別の問題
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本人が操作できないなら、介護者がリモコンで操作できる方が実用的
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日中にソファとして使う余裕があるかも考慮する
3年目の春、ようやく決めたこと
介護ベッドを選ぶプロセスは、思ったより複雑だった。
「安い」「コンパクト」「多機能」という条件だけでは、本当に必要な選択肢は見えない。
母の「今の状態」と「これからの変化」を見据えて、ケアマネと福祉用具専門相談員と一緒に判断する。
その時間を惜しまないことが、後々の買い直しを防ぐ。
わたしは、この3年で何度も「もっと早く相談していればよかった」と思った。
介護保険は、知らないと使えない制度だ。
知っているだけで、月々の負担が大きく変わる。
母が朝、リモコンで背中を上げるベッドに寝ている姿を見ると、「この判断は間違ってなかった」と思う。
まとめ|介護ベッド選びは「今」と「これから」のバランス
在宅介護3年目で介護ベッドを導入した経験から。
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介護保険の対象品目を確認する:ベッド・マットレスは「福祉用具貸与」で月数百円のレンタルが可能。購入前に必ずケアマネに相談する
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本人の状態を福祉用具専門相談員に評価してもらう:1モーター・2モーター・3モーターの選択は、起き上がり能力で判断する
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「安い」「多機能」だけで選ばない:手動リクライニングと電動モーターは別物。介護者が楽に操作できることが日々の負担を減らす
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レンタルの柔軟性を活かす:状態変化に合わせて機種を変更できるのが、購入との大きな違い
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折りたたみ式か固定式か:マンション暮らしならコンパクトさは魅力だが、耐久性はレンタル業者に任せられる