母の食事の時間が静かになった
冬の終わり、ケアマネジャーから「飲み込みが落ちてきてますね」と指摘されたのは、わたしが気づく前だった。
それまで母は普通に食べていると思っていた。
でも訪問看護師が「むせやすくなってないですか」と聞いた時、ああ、最近お茶を飲む時にちょっと時間がかかるな、と思い出した。
その直後から、食事の道具を少しずつ変えてみることにした。
食べ方の工夫ではなく、道具そのものを変えることで何か変わるかもしれない、と。
📖 この記事でわかること
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飲み込み機能が落ちた時は、スプーンの大きさと形状が想像以上に重要
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飲み口が広いコップは、顎を上げずに飲めるから誤嚥リスクが下がる
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介護食デザートは「栄養補給」ではなく「本人が食べたくなる食事」として機能する
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道具選びはケアマネジャーや訪問看護師に相談してから購入する方が失敗が少ない
スプーン選びで初めて気づいたこと
最初に買ったのは、一般的な食事用スプーンだった。
母も特に不満そうではなかったから、それでいいと思っていた。
でも訪問看護師が「一口量が多いと飲み込みにくくなることがあります」と言った時、初めてスプーンのサイズを意識した。
普通のスプーンって、実は一口量が多いんだ。
特に母は最近、口を大きく開けるのが少し億劫そうになっていた。
軽い片麻痺で口角が少し下がっているから、余計にそう見えるのかもしれない。
そこで試したのが Kスプーン(青芳)。
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【Part 1: Kスプーンを選んだ理由】
価格は ¥1,573(2026-04-24時点)。
嚥下障害のある人向けに設計されたスプーン、と説明に書いてあった。
一口量が 1〜2g という数字が出ていて、これが普通のスプーンと何が違うのか、最初はよくわからなかった。
でも訪問看護師が「このタイプは口に入れやすく、飲み込みやすいです」と言ったから試してみることにした。
基本情報
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価格:¥1,573(2026-04-24時点)
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一口量:1〜2g(普通のスプーンの半分以下)
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材質:ステンレス
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特徴:スプーン部分が小さく薄く、柄は持ちやすい長さ
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介護保険:対象外(自費購入)
【Part 2: 実際に使ってみた感想】
届いた時、思ったより小さかった。
「これで足りるのか」と不安になったくらい。
でも母に使わせてみると、口への入れ方が変わった。
普通のスプーンの時は、スプーンを口に入れてから引き出すのに少しもたつく感じがあった。
でもこのスプーンは、スッと口に入ってスッと引き出される。
口を大きく開ける必要がないから、軽い片麻痺で口角が下がっている母でも、自然に食べられるようになった。
一番変わったのは、食事中のむせが減ったこと。
最初は「こんな小さいスプーンで大丈夫か」と思っていたけど、一口量が少ないから飲み込む時間に余裕が出るらしい。
【Part 3: よかった点・気になった点】
よかった点:
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飲み込みの動作がスムーズになった。食事の時間が静かになった
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本人が疲れにくくなった。以前は食べ終わると疲れた顔をしていたけど、今は平気そう
気になった点:
- 一口量が少ないから、食事時間が少し長くなった(わたしの介助時間が増えた)
【Part 4: 同じ状況の人への一言】
飲み込みが悪くなり始めたら、最初に試す価値がある。
ただし「介護用スプーン」といっても色々あるから、ケアマネさんや訪問看護師に「どのタイプがいいか」を聞いてから買う方がいい。
わたしも最初は自分で判断して失敗したことがあるから。
《2年後の自分への備忘録》
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一口量が少ないスプーンは、飲み込み機能の低下に直結する
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スプーン選びは「本人の口の開き具合」と「飲み込みの力」をセットで考える
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訪問看護師に相談するのが最短ルート
飲み口の広さがこんなに大事だとは
スプーンを変えて 2週間後、次に気になったのは飲み物だった。
母がお茶を飲む時、顎を上げるのが目立つようになっていた。
普通のコップだと、飲むために首を後ろに反らす必要があるんだ。
でも飲み込みが弱くなると、その姿勢が危険になるらしい。
訪問看護師が「顎を上げずに飲めるコップがあります」と教えてくれたのが、スワローカップだった。
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【Part 1: スワローカップを選んだ理由】
価格は ¥4,840(2026-04-24時点)。
有田焼の陶器製で、見た目も高級感がある。
「介護用」というより「おしゃれなコップ」に見えるから、母も抵抗感がなさそうだった。
飲み口が広がっているから、顎を上げずに飲める、という説明だった。
基本情報
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価格:¥4,840(2026-04-24時点)
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サイズ:飲み口径 8.5cm × 高さ 10cm
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容量:180mL
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材質:陶器(有田焼)
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特徴:飲み口が広く、顎を上げずに飲める設計。取っ手は 5本指で握りやすい
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電子レンジ・食洗機対応
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介護保険:対象外(自費購入)
【Part 2: 実際に使ってみた感想】
届いた時、まず重さに驚いた。
陶器だから仕方ないけど、母が自分で持つのは少し重いかもしれない。
でも飲ませてみると、違いが一目瞭然だった。
飲み口が広いから、母が顎を上げずにお茶を飲める。
普通のコップの時は、首を後ろに反らしながら飲んでいたけど、このコップは前かがみのままで飲める。
訪問看護師が「この姿勢の方が誤嚥リスクが低いです」と言った意味が、やっと理解できた。
顎を上げずに飲む、これがこんなに大事だとは思わなかった。
【Part 3: よかった点・気になった点】
よかった点:
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顎を上げずに飲めるから、飲み込みの動作が自然
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本人が「飲みやすい」と言った。これが一番大事
気になった点:
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陶器なので重い。わたしが介助する時は持ちやすいけど、本人が自分で持つのは難しい
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割れる可能性がある。毎日の食器洗いで緊張する
【Part 4: 同じ状況の人への一言】
飲み込み機能が落ちたら、コップの形状は本当に大事。
普通のコップは「顎を上げて飲む」のが前提に作られているから、その前提が崩れると危険になる。
ケアマネさんや訪問看護師に「どんなコップがいいか」を聞いてから買うといい。
《2年後の自分への備忘録》
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飲み口の広さと、顎の角度は誤嚥リスクに直結する
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陶器製は見た目がいいけど、毎日の扱いは少し気を遣う
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本人が「飲みやすい」と感じるかどうかが、実は一番重要
甘いものが食事になった
スプーンとコップを変えて 1ヶ月。
母の食事量が少し減ってきたのに気づいた。
飲み込みが悪くなると、本人も食べるのが疲れるんだろう。
無理に「栄養を」と言って、普通の食事を出しても、食べ終わるまでに時間がかかって、結局残してしまう。
そこで試したのが、介護食のデザートだった。
最初は「デザートなんて栄養にならない」と思っていたけど、訪問看護師が「本人が食べたくなるものが、実は一番栄養になります」と言ったから。
やわらかデザート チーズ屋さんのレアチーズケーキ【/やわらか食、介護食、嚥下訓練にも(業務用・ご自宅用)】
【Part 1: 介護食デザートを選んだ理由】
価格は ¥2,160(2026-04-24時点)で、1個 40g。
ユニバーサルデザインフード(UDF)区分 3「舌でつぶせる」に該当する。
つまり、飲み込みが弱くても舌で潰せば飲み込める硬さ、ということ。
冷凍で届くから、食べる時に解凍する手間がある。
でも「チーズケーキ」という名前だけで、母の食欲が出た。
基本情報
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価格:¥2,160(2026-04-24時点)
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内容:40g × 1個
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栄養:1個あたり約 100kcal、タンパク質 1.2〜1.4g
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UDF区分:3「舌でつぶせる」
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保存:冷凍(賞味期限 12ヶ月)
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フレーバー:プレーン、いちご、抹茶、バナナ
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介護保険:対象外(自費購入)
【Part 2: 実際に食べてみた感想】
最初に母に出した時、「これ、本当にケーキ?」という顔をしていた。
見た目は確かにケーキ。
でも食べてみると、舌で潰せるくらい柔らかい。
そして何より、本人が「おいしい」と言った。
これまで「栄養がある食事」として、ペースト状の介護食を出していたけど、本人は喜んでいなかった。
でもこのデザートは違った。
食べた後の表情が違う。
短い時間で食べ終わるから、本人の疲労感も少ない。
【Part 3: よかった点・気になった点】
よかった点:
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本人が「食べたい」と言うようになった。これが一番大事
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栄養価も悪くない。100kcal でタンパク質も含まれている
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冷凍だから、ストックできる
気になった点:
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毎回解凍の手間がある。朝に出す時は前夜から冷蔵庫に移す必要がある
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価格は 1個 ¥2,160 だから、毎日は出せない
【Part 4: 同じ状況の人への一言】
介護食というと「栄養」と「食べやすさ」を優先させがちだけど、実は「本人が食べたくなるか」が一番大事。
「これは介護食です」という顔をしてないデザートを選ぶと、本人の食欲が違う。
ただし、飲み込みの状態によって向き・不向きがあるから、ケアマネさんに相談してから買うといい。
《2年後の自分への備忘録》
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介護食デザートは「栄養補給」というより「食欲を引き出す道具」
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UDF区分を確認して、本人の飲み込み機能に合わせて選ぶ
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本人が「食べたい」と思う食事が、実は一番栄養になる
3ヶ月使ってみた今の感想
スプーン、コップ、デザート。
小さな道具を 3つ変えただけで、母の食事の時間が静かになった。
むせることが減って、本人も疲れにくくなった。
わたしの介助の時間も短くなった。
最初は「こんなことで変わるのか」と思っていたけど、飲み込み機能が落ちた時の道具選びは、本当に大事だ。
ただし、すべてが自費購入だから、費用がかさむ。
スプーンは ¥1,573、コップは ¥4,840、デザートは毎回 ¥2,160。
月に 2〜3 回デザートを出すなら、月 ¥6,000〜¥9,000 くらいの追加費用。
介護保険の対象になる食器もあるから、ケアマネさんに「どれが保険対象か」を先に聞いてから買うといい。
わたしは最初、それを知らずに全部自費で買ってしまった。
❓ よくある質問
介護用スプーンは介護保険でレンタルできますか?
いいえ。食器類は介護保険の対象外なので、自費購入になります。詳しくは厚生労働省の介護保険制度ページをご覧ください。ただし、食事を介助する人の負担を減らすために、ケアマネさんに相談すれば、どのタイプがいいかのアドバイスはもらえます。
スワローカップのような介護用コップは、介護保険の対象ですか?
コップも介護保険の対象外です。ただし、飲み込みが悪くなった時は、本人の状態に合わせたコップ選びが誤嚥予防に直結するから、ケアマネさんや訪問看護師に相談してから買うといいです。
UDF区分 3 というのは、どんな硬さですか?
舌と口蓋(上あご)の間で潰せるくらいの硬さです。歯がなくても、飲み込みが弱い人でも食べられる設計。ただし飲み込みの力がもっと弱い場合は、区分 4「かまなくてよい」を選ぶ必要があります。ケアマネさんに本人の状態を見てもらってから決めるといいです。
介護食デザートは毎日食べさせてもいいですか?
栄養バランスを考えると、毎日はおすすめしません。ただし「本人が食べたくなる食事」として週に 2〜3 回出すなら、食欲を引き出す効果があります。ケアマネさんや栄養士さんに相談して、本人の栄養状態に合わせて決めるといいです。
まとめ|小さな道具が、食事を変える
飲み込み機能が落ちた時は、食事の内容を変えるより先に、道具を変えることが効果的だった。
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スプーンの一口量を減らすことで、飲み込みの負担が下がる
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コップの飲み口の形状で、顎の角度が決まり、誤嚥リスクが変わる
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「栄養」より「本人が食べたくなるか」が、実は一番大事
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道具選びはケアマネさんや訪問看護師に相談してから購入する
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食器類は介護保険の対象外だから、自費購入の覚悟が必要
詳しくは厚生労働省の福祉用具貸与・購入ページもご参照ください。
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在宅介護3年目の40代。母の介護で試してきた道具の本音を淡々と書いています。ひとりで抱え込まないでください。
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本記事は 2026年4月時点の介護保険制度に基づいています。介護保険は改正が頻繁に行われるため、最新の情報については厚生労働省の介護保険制度ページや、近所の介護保険窓口・地域包括支援センターにご確認ください。



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