スロープを玄関に置くまで知らなかった3つの失敗|段差解消の罠

3 7 安全・転倒予防

玄関の段差が、母の外出を完全に止めた

母が車椅子になった日、わたしは「家の中さえバリアフリーにすればいい」と思っていた。

でも、外出できなくなったのは玄関の 3.5cm の段差だった。

デイサービスの送迎は車椅子ごと乗せてもらえるけれど、通院のタクシーは玄関まで。わたしが母を車椅子から降ろして、段差を一緒に乗り越える。それが腰に来た。

ケアマネジャーに相談したら「スロープで段差を解消できます。介護保険でレンタルもできますよ」と言われた。

それまで「スロープ」という選択肢がなかった。この記事は、わたしがスロープを導入するまでに失敗した 3 つのポイントと、実際に使ってみてわかった注意点を書く。

📖 この記事でわかること

  • スロープで玄関の段差解消。車椅子の通院が楽になった

  • 失敗①:最初に選んだのが「勾配がきつすぎて」母が怖がった

  • 失敗②:スロープの表面が滑りやすく、雨の日に母が緊張した

  • 失敗③:設置スペースを測らず廊下を塞いでしまった

  • 介護保険レンタルと自費購入の違い(レンタルは月数百円〜)

失敗①:最初に買ったスロープは「勾配がきつすぎた」

玄関の段差 3.5cm に対して、わたしは「短いスロープのほうが邪魔にならない」と考えて、50cm 幅のコンパクトなタイプを自費で買った。

届いた日にセットしてみた。

母を車椅子ごと押してスロープを上ろうとしたら、勾配がきつい。母は「こわい」と言った。

勾配がきついと、車椅子が後ろに傾いて転倒のリスクが増える。介助者のわたしも、押し上げる力が必要で腰に負担がかかる。

その日のうちに「失敗した」と気づいた。

ケアマネに改めて相談すると、「段差 3.5cm なら、最低でも 80cm〜100cm の奥行きが必要」と教えてもらった。スロープの勾配は「1:12」(段差 1cm に対して長さ 12cm)が基準らしい。

勾配が緩やかなほうが、本人も介助者も安全。「コンパクトで便利」という考えは、完全に裏目に出た。

失敗②:雨の日にスロープの表面が滑った

次に、ケアマネに紹介された福祉用具専門相談員から「木製段差スロープ」をレンタルで試してみることにした。

木製段差スロープ 段差対応3.5cm 介護 福祉用品 住宅 安全管理 天然木製 車イス対応

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勾配は緩やかになって、母も安心して乗り越えられるようになった。温かみのある木製で見た目も悪くない。

でも、別の問題が出た。

通院の日が雨だった。玄関で車椅子を押し始めると、スロープの表面が濡れて滑りやすくなっていた。母は「滑る」と緊張した。

わたしも車椅子を押す手が滑りそうで、慎重にならざるを得なかった。

ケアマネに聞いてみたら、「木製スロープは滑りやすいものが多い。雨の日や濡れやすい玄関なら、滑り止め加工のあるゴムマットタイプのほうが安全」とアドバイスされた。

結局、スロープの上に滑り止めマットを別途敷くことで対応した。

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6mm 厚の PVC ゴムマットで、全面がメッシュ構造になっていて水が抜ける。スロープの上に敷くと、足元(車椅子のタイヤも含めて)が滑りにくくなった。

母も「さっきより安心」と言った。雨の日も気にせず通院に出られるようになった。

失敗③:設置スペースを測らずに置いて、廊下を塞いだ

滑り止めマットを敷いたスロープで母の外出はスムーズになった。

でも、今度は別の家族からクレームが来た。

夫が週末に帰宅した時、「廊下が狭い」と言われた。スロープの奥行きが 100cm あるため、玄関から廊下へ続く動線を一部塞いでいた。

わたし自身も、スロープを跨いで荷物を運ぶのが面倒になってきた。

設置前に玄関と廊下の寸法を測っておけばよかった。スロープを置く場所は、「段差の前後にどれだけ余裕があるか」を確認してから決めるべきだった。

結局、スロープを斜めに置く角度を調整することで、廊下の通路幅を確保した。でも、最初から測っておけば手戻りはなかった。

スロープを選ぶときの3つのチェックポイント

失敗を経て、今はこの3点を最初に確認するようにしている。

  1. 勾配が緩やかか:段差 1cm に対して長さ 12cm が目安(段差 3.5cm なら 80cm〜100cm の奥行き)
  2. 滑り止め加工があるか:雨の日・濡れやすい玄関なら必須。木製なら別途ゴムマットを併用
  3. 設置スペースは十分か:スロープの奥行き + 前後 20〜30cm の余裕があるか実測する

介護保険レンタルと自費購入、どちらが安いか

スロープは介護保険でレンタルできる(要介護1以上が対象)。

わたしの場合、レンタル料は月額 500 円(自己負担 1 割の場合)。ケアマネに相談すれば、福祉用具専門相談員が自宅の寸法を測りに来てくれる。

自費で購入すると、木製スロープは 3,000〜7,000 円程度。長く使うなら購入が安い場合もあるが、状態が変わったときに「合わなくなる」リスクがある。

レンタルなら、母の状態に合わせて別のタイプに交換できる。メンテナンスも業者がやってくれるので、わたしは今のところレンタルを続けている。

2024 年 4 月からは、スロープのレンタルと購入を選べるようになった(介護保険制度改定)。ケアマネに相談して、自分の状況に合う方を選ぶのがいい。

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同じ立場の介護者に伝えたいこと

在宅介護の写真

スロープを導入するまで、わたしは「たった数センチの段差」と軽く見ていた。

でも、車椅子で乗り越えるには、その数センチが大きな壁になる。介助者の腰にも負担がかかる。

スロープを置いてから、通院のたびに腰が痛くなることが減った。母も「外に出やすくなった」と言った。

ただし、スロープはただ置けばいいわけではない。勾配・滑り止め・設置スペースの3点を最初に確認しないと、わたしのように何度も買い直すことになる。

ケアマネや福祉用具専門相談員に相談すれば、自宅の状況に合ったスロープを提案してもらえる。自己判断で買うより、まず相談するのが近道だった。

❓ よくある質問

スロープの勾配はどれくらいが安全ですか?

段差 1cm に対して長さ 12cm が目安です(「1:12」の勾配)。段差 3.5cm なら、最低でも 80cm〜100cm の奥行きが必要になります。勾配がきついと車椅子が後ろに傾いて転倒リスクが高まるため、緩やかなほうが安全です。

スロープは介護保険でレンタルできますか?

できます。要介護1以上であれば、介護保険で福祉用具貸与の対象になります。月額レンタル料の自己負担は1割の場合で 500 円程度。ケアマネジャーに相談すると、福祉用具専門相談員が自宅を訪問して寸法を測り、最適なスロープを提案してくれます。

木製スロープとゴム製スロープ、どちらがいいですか?

設置場所によります。屋内で濡れにくい場所なら木製でも問題ありません。玄関や雨に濡れやすい場所は、滑り止め加工のあるゴム製のほうが安全です。木製を使う場合は、別途滑り止めマットを敷くことで対応できます。

スロープを設置するスペースがない場合は?

折りたたみ式のスロープや、必要な時だけ敷く軽量タイプもあります。ただし、毎回設置・撤去するのは介助者の負担になるため、できるだけ固定で置ける場所を確保するほうが楽です。福祉用具専門相談員に相談すれば、スペースに合った提案をしてもらえます。

スロープを自費で買うか、レンタルするか、どちらが安いですか?

長期的に使うなら購入が安い場合もありますが、母の状態が変わったときに「合わなくなる」リスクがあります。レンタルなら月額 500 円程度(自己負担1割)で、状態に合わせて交換できるメリットがあります。わたしはレンタルを続けています。

まとめ|スロープ導入で失敗しないために

玄関の段差を解消するスロープは、母の外出と通院を楽にしてくれた。ただし、勾配・滑り止め・設置スペースを最初に確認しないと、わたしのように何度も買い直すことになる。

  • 勾配は「1:12」が目安(段差 3.5cm なら 80cm〜100cm の奥行き)

  • 雨に濡れやすい玄関は滑り止め加工必須(木製なら別途ゴムマット併用)

  • 設置前に玄関と廊下の寸法を実測する

  • 介護保険レンタル(月額 500 円〜)でまず試すのが安全

  • ケアマネ・福祉用具専門相談員に相談すれば失敗が減る

同じ立場の介護者へ。スロープはただ置けばいいわけではない。自己判断で買う前に、まず専門家に相談してほしい。

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